違法ダウンロード・海賊行為について考える

あなたは海賊版のコンテンツをネット上でダウンロードしたことがあるだろうか。今日、インターネット上のデータの交信の20パーセント以上が、海賊版のコンテンツのやり取りであると言われいる。今回は、インターネット社会に深く根付く、違法ダウンロード、海賊行為についての現状把握、そして考察をし、その対策と問題解決についてまとめた。

海賊版の過去と現在

海賊行為はインターネットが普及する前の時代にも存在していた。初期の海賊行為はインターネット上ではなく、対人でレコードやプログラムの違法コピーの売買として行われていた。一昔前でも路上での違法コピーDVDなどの販売は東京の秋葉原や大阪の日本橋などではかなり多く見られた。一部の発展途上国または大都市の繁華街では今日でも路上または店舗での違法コンテンツ販売は多く見ることができる。インターネットが普及した今日では、海賊版は音楽や映画だけにとどまらず、書籍、ソフトウェア、スマホアプリ、フォント、ゲームなどが違法でネット上にアップロードされる。今後3Dプリンターの普及により、より多くの海賊版3Dデータなどが違法にアップロードされることなども考えられる。もしくは、おそらく既に起こっていると考えられる。デジタルで様々なコンテンツが販売されるようになった今、さらに海賊行為の対象となるコンテンツは多様化していくと考えられる。

海賊行為の被害について

社会に蔓延する海賊行為とそれによる経済的被害は、今ではとても軽視できるものではない。しかし著作権団体などによって発表される被害総額はその計算方法が必ずしも正確とは限らない。例えば、「1曲100円の音楽が違法に100人にダウンロードされたので被害総額は1万円に上る。」というような計算は不正確な被害総額を導き出す可能性がある。なぜならネットに違法にあるコンテンツをダウンロードしたユーザーが100人いたとしても、その100人全員が合法で正規品を購入するつもりだったということにはならないからだ。もし無料で違法にそのコンテンツをダウンロード出来ないのであれば、そもそもそのコンテンツに触れない、という人は少なくないであろう。加えて、合法的に購入した顧客でさえも、何らかの理由で同じコンテンツを違法にダウンロードするということも考えられる。海賊行為が現在は犯罪であるということは変わりないが、被害の把握をしっかりと正確にすることはこの問題を解決する上で、非常に重要なことであると言える。

海賊行為を犯す理由

人々が海賊行為を犯すもっとも大きな理由の一つは、その価格である。違法版のコンテンツのほぼ全ては無料である。コンテンツを気に入ろうが、気に入らまいが、ユーザーは返品や返金の心配をする必要がない。逆に言えば、返品返金の手続きの複雑さやリスクがユーザーを海賊行為に走らせる原因の一つであるとも言える。返品返金の複雑さ以外にも、企業側の過度な海賊行為対策で、ユーザーが私的利用の範囲内でコンテンツを複製または再編集する際の制約に不便さを覚えることなども挙げられる。人々は必ずしも海賊版の無料という点だけで、ネット上で違法にコンテンツをダウンロードするために長い時間を費やしているというわけではない。例えば、音楽配信サービスのSpotifyはその手軽さと価格設定から多くユーザーに利用されるようになった。爆発的な普及の理由の一つはSpotify上で音楽を聴くことは違法コンテンツをネット上で何時間もかけて探し、それをダウンロードし、やっとのこと自分のデバイスに転送するより圧倒的に安全かつ手軽であるからだ。企業が顧客のニーズに合わせた商品配信をすることはこの問題を解決する上でとても重要である。

海賊版がもたらす”利益”

ネット上で最もダウンロードされているソフトウェアの一つはAdobeのPhotoshopであると言われている。Adobeのソフトウェアを練習する人達にとって海賊版の教育的価値としての存在はかなり大きいと言える。なぜなら、Adobeのソフトウェアは非常に高額で発展途上国に住む人はもちろん、多くの駆け出しアーティスト、デザイナー、エンジニア等にとても手の届くものではない、又はなかったからだ。Adobeは海賊版対策として、月額制でのソフトの配信(Adobe Creative Cloud)を2012年から開始した。Adobe以外にもWindowsなど、海賊版がその普及を手助けした場合は他にもいくつかある。経緯はどうであれ、より多くの人がそのコンテンツに触れ、そのコンテンツが有名になることは海賊行為の一つの利点であると言えるかもしれない。

犯罪行為としての意識

海賊行為を犯す人の心理について考えてみる。海賊行為をする人の心理において興味深いことは、人は違法にコンテンツをダウンロードすることに対して、従来の窃盗と比べ、同程度の罪の意識を覚えない傾向にあると考えられることだ。従来の窃盗と海賊行為の大きな違いは、ユーザーが違法にコンテンツをダウンロードしたとしても、実際にその商品が実際にその会社から消えて無くなるわけではないという点だ。例えば、店から一本100円の鉛筆を盗めばその鉛筆は店から消え、店は100円の損失を出したことになる。しかし、あるユーザーが一曲100円の音楽を違法にダウンロードしたとしても、そのコンテンツが出版レーベルから消えてなくなりレーベルが100円の損失を出したということにはならない。正規の顧客達は何事もなかったように継続してその楽曲を正規に購入し続けることができる。ユーザーが会社から何かを直接的に盗んでいるという意識が生まれにくい、ということがユーザーが海賊行為を犯す一つの原因であると考えられる。

結論:海賊行為の将来

違法にコンテンツをダウンロードするユーザー達の足取りを追跡し、取り締まりを強化することはそれほどに難しくないが将来、海賊行為がなくなることは恐らくないだろう。というより、技術的にほぼ不可能であろう。皮肉なことに、海賊行為が人々の生活の一部として当たり前のように機能している今日、取り締まりがある日突然厳しくなることはないであろう。レーベルや企業・団体が政治に圧力をかけつつ、同時に少しずつSpotifyやAdobe Creative Cloudのようなユーザーが理想とする機能と価格帯を兼ね備えたサービスが社会に浸透していくことがこの問題の解決への唯一の道ではないだろうか。

最終更新: 2016年10月22日

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